2019 中学受験体験記

1月19日 受験初日


グラウンドに一人ぼっちで立ち尽くしていた。
たくさんいた父兄は、テストを終えた子供を連れ、グラウンドを後にしていた。

去っていく表情は悲喜交々。

 

ボクは丹丹が満面の笑みで出てくることを想像してた。。。


遠くから不安そうに見つめる、外国人の先生。


一月にしては暖かな日差しがつくる、

グラウンドのコントラスト。


受験終了を告げるチャイムも

とっくに鳴り終え、いまは、静寂の場所。


どうしよう。校舎から出てこない。。。
もしかして、すれ違ってしまったのかと、

外で待つ奥さんに電話をする。

「まだ、出てきてないの?」

その言葉から不安が伝わる。


保健室受験⁈

体調は良かったはず。


校舎内で何か問題が⁈ 
受験当日にありえない。


さまざまな想いが交錯する。

 


娘が、この学校を中学を志したのは、体験入学でコーラス部に入ってからだった。
人前で歌うことが少なかった娘は、人と声を合わせて歌う楽しさを、その時感じた。
そして、その歌声に聞き惚れた。


五年生に入り、多くの中学を訪れた。
この学校には、父兄だけの回数も含めると5回も訪問した。
その度、新しく感じる事も多く、親子とも学校に惹かれていった。


それから二年。
険しい山を登るかのように、

一歩一歩、少しずつ、歩みを重ね
今日、学校の門をくぐった。

 


娘が校舎から出てきたのは、

しびれを切らした私が、先生の元に駆け寄り話をしようとした直前だった。


顔色は白く、血の気がなく、少しずつ歩き、元気がなかった。

自分も体から力が抜けていくのを感じる。


娘のもとへ駆け寄ると、娘が一言。
「体調が悪くなった。」


頭が真っ白になった。
なんて言葉をかけて良いか、
とっさに出た言葉は、


「ママが心配するから、黙っていようか。」

 


四時間目の社会を受けていると、

急な腹痛があり、

最後の20分は何も覚えていない程だったよう。


テスト終了と共にトイレへ駆け込んだため、
出てくるのがかなり遅くなっていた。


うつむきながら、ポツリポツリと話す言葉には力がなかった。

受験の怖さを実感した。


受験失敗という言葉が頭に浮かんだ。


妻と出会い、明らかに普段と違う娘に気付き、事情を話した。
三人は言葉少なに、帰り道を歩いた。

 

 


1月21日 合否発表の日


再び、学校への道を歩く。
今度は一人で。


娘は三日目。

早朝、奈良へ受験に出かけた。
妻は自宅で待機中。

娘の状況に弱気が出て、発表を見に行けなくなっていた。

 


時刻は9時20分、

既に合格発表は始まっている。


泣きじゃくりながら、母に肩を抱かれて歩く女子とすれ違う。


小走りに私を追い越す人がいる。
笑顔で電話する女子。
眉間に皺を寄せたまま歩いてくる女性。


鼓動が速くなる。
学校の門に近づくにつれて、

手に汗がにじむ。
知らずに、小走りになる。


先生方の誘導に従って、発表のある館へと歩みを進めた。
緊張のせいか、だんだん視野が狭くなってきた。


すれ違う人、追い越す人、

視界に入る人々の
合否が手に取るように分かった。

 

 


講堂の一番後方からでも、
スクリーンに番号が映っているのが見えた。


焦点を合わせるのがこわい。

 


足が前に進まず、一番後ろから、

203を探した。


英数1コース。

表示なし。

 


隣に表示されている、英数2コースに目を移せなかった。

「番号がないかもしれない」


昨晩、こっそりと
「英数2は無理かも。英数1なら受かっているかも。」
と、自信なさげに耳打ちした娘の顔がよぎる。

 

 


英数2コース。203。

 


何度も見返した。何度も何度も。
その場に膝から崩れ落ちた。


涙がこぼれおちた。


肩が震えているのが自分でもわかった。


叫びそうになった。
が、それは理性で我慢した。


なかなか信じられず、座って見ていた。

涙で文字がかすれ、写真まで撮って確認した。

やっぱり、、、ある。間違いなく。

 


周りでは、嬉しさの歓声が聞こえ、

合否どちらともとれるすすり泣きが、聞こえた。


後になって気付いたが、

この場所、この瞬間が、子供たちの将来の幾分かを決めていた。
非情でもあり、幸福でもある。


数十分かけて、気持ちを落ち着かせ、

妻に連絡を入れてから、一緒に奈良へ向かった。


そして、受験が終わったらすぐに結果を伝えた。

 

如何にも信じられないといった反応だったが、時間をかけ自身の合格を確信し、その喜びを噛み締めていた。

 


今になって思えば、こんな経験は後にも先にもないと思う。

子供の受験に付き添い、お弁当をつくり、

塾の送り迎えを繰り返し、

模試の結果に一喜一憂した。

 

四年生から塾に通ったが、最後の半年は、完全に娘中心の生活だった。

朝から、

高速道路で遠くの個人塾に送り、

昼過ぎから大手塾へ送り、

夕方に弁当を届け、

夜10時頃にまた、娘を迎えに行った。

 

もう、こんな経験はないと、全力でサポートして、

終わってから三ヶ月は、その興奮が冷めなかった。

 

多分、きっと、こうしてサポート出来たことが、良い思い出になると思います。

すべてに感謝‼️

 

さてと、仕事頑張らにゃ^_^